ドラクエ発売! |
 先週の11日になりますが、ドラゴンクエスト9が発売されましたね(記事はこちら)。 私自身は子供の頃に初代ドラゴンクエストで少し遊んだ程度で、最近はゲームで遊ぶこともなく、あまり馴染みがなかったのですが、昨今、市場規模が低迷気味のゲーム業界としては久々のメガヒットを狙った新作とのことでしたので関心を持ちました。
ドラクエ9については、ご承知のとおり、3度の発売延期を経て(記事はこちら)、ようやく7月11日の発売にこぎ着けたことも、逆に購買層にとっては、「そこまで作り込んだのであれば期待できる」と注目が高まったのかもしれません(同社の経営・内部管理体制の評価は下げたのでしょうが)。
ただし、気になるのは、その価格設定です。記事のなかでは「価格も5年近く前に出した前作(9,240円)に比べて大幅に安い5,980円に設定し、これまで以上の爆発的なヒットを狙う」とありましたが、いくら景気が悪いとはいえ、果たして、この価格設定で何年もかけて開発した投資を回収できるのでしょうか?
1世代シリーズが進むとどの程度のコンテンツ開発コスト(主に人件費でしょうか)が上昇するのかは定かではありませんが、コストが同じとしても前作の2倍程度の本数は売らないといけないのではないでしょうか。
ゲーム・玩具業界といえば、最近でも業界での生き残りをかけ、M&Aが活発化しています。
有名なところでは、ドラクエの発売元であるスクウェア・エニックス・ホールディングスやバンダイナムコホールディングス(以下、「スクエニ」)、セガサミーホールディングス、タカラトミーなどがあります。また、最近ではテクモに対して、スクエニが経営統合の交渉を進めていましたが、TOBの条件等が折り合わず、コーエーがテクモのホワイトナイトとして登場し、コーエーテクモホールディングスとなった事案がありました。 スクエニの有価証券報告書を見て気付きましたが、私に取ってはゲームセンターなどで懐かしい名前であったタイトー社もスクエニの連結子会社になっていました。
上記のとおり、ここ数年で経営統合が相次ぎ、いまや単独で事業展開している企業の方が少ない状況です(この中でも有力なのが、バイオハザードやモンスターハントなどのヒットシリーズを抱えるカプコンですね)。
これほど業界の再編が進む要因の主たる理由は次のとおりです。 ◎一部のヒット作に支えられているものの、全体的には日本におけるゲーム・コンテンツ業界の市場規模が低迷していることに加え、ますます少子化が進むことにより将来の市場規模の縮小が懸念されていること ◎これに対して、欧米のゲーム市場規模は大きく、 ◎コンテンツ開発費の高騰に伴う投資のハイリスク化が進み、開発~リリース~投資回収のサイクルが長期化するなか、単独企業の資金規模では事業の継続が困難になってきていること ◎単なるゲーム(オフライン)販売ではなく、対戦型・協力型オンラインゲームや携帯コンテンツの開発、または、ロイヤリティー・版権・映像化・書籍化などのマルチメディア戦略など事業や経営の多角化が求められるため企業規模の拡大によってシナジー効果が得られやすいこと
さて、スクエニ社の直近2009年3月期の有価証券報告書(ここからDLできます)を眺めていて気になったポイントは次のとおりです。
1.最近5年の連結業績推移サマリー 2.主たる連結子会社は? 3.事業の種類別セグメント情報(特に営業利益率に着目!) 4.ゲーム業界特有の会計処理(開発仕掛り中の案件やソフトウェアの在庫の評価は?) 5.貸借対照表の特徴(流動・固定分類など) 6.損益計算書の特徴(売上原価・販管費の比率など) 7.キャッシュ・フローの状況と手許キャッシュの水準 8.新会計基準「工事契約に関する会計基準」(平成21年4月1日以後開始する事業年度から強制適用)の影響は? 9.英国Eidos社の買収による国際市場への本格参入
それぞれ簡単に解説します。
1.タイトーを連結子会社化したH18/3期に1244億円の売上を計上(前期738億円)。 H19/3期に過去最高売上の1634億円を計上以降、1475億円⇒1356億円と売上減少傾向。 経常利益についても、過去最高売上のH19/3の262億円を頂点として、188億円⇒112億円と減少しています。 なお、キャッシュ残高は(H18/3)752億円⇒(H19/3)998億円⇒(H20/3)1114億円⇒ (H21/3)1118億円と安定推移しています。
2.主要な連結子会社は、?スクウェア・エニックス(売上343億円、経常利益23億円)、?タイトー(売上581億円、経常損失▲52億円)となっています。 収益性は厳しいものの、アミューズメント施設(ゲームセンターなど)事業を主として行うタイトーの売上が、依然として連結売上のほぼ半分を占めているというのは意外でした。
3.事業の種類別セグメントは以下の6つに分かれています。 (1)ゲーム事業 (直近の売上&営業利益:363億円&41億円) (2)オンラインゲーム事業 (同上:106億円&30億円) (3)モバイルコンテンツ事業 (同上: 70億円&36億円) (4)出版事業 (同上:129億円&35億円) (5)AM(アミューズメント)事業 (同上:582億円&▲9億円) (6)その他事業 (同上:123億円&32億円)
(1)のゲーム事業は経常利益率が11.2%となっており、H20/3期の21.2%(売上415億円、営業利益88億円)に比べると、直近期はヒット作に恵まれず苦戦した状況が分かります。本来は、ここにドラクエ9の売上と利益が計上される予定だったようです。このドラクエの売上及び利益は、当期(H22/3期)にどの程度計上されるかが注目されています。
また、注目すべきは(3)モバイルコンテンツ事業の営業利益率の高さ(51%) と(4)出版事業の売上高の伸び率(前年比16%)です。もはや、PCや単体ゲーム機向けの販売だけでは収益リスクが高いため、携帯や出版等の多角化事業によって安定的な収益基盤を構築しているというところが窺えます。 (5)AM事業はしばらく苦戦が予想されそうです。
個人的にオンラインゲームというものをしたことがないのですが・・・ こんな記事を見ると、少し怖くて尻込みしてしまいます。
次回は財務諸表分析の部分を解説したいと思います。
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