今、「会計」に求められる役割とは?(ベンチャー編) |
本日は少し堅い話ですが、「会計」に携わる者として、経営環境が厳しい今、何ができるのか、何をすべきなのかを少しコメントしてみます。
参考にしたのは本日の日経朝刊【経済教室】の記事 『経済危機下の起業論(上)「創造的破壊」の先兵たれ』(伊藤邦雄・一橋大学教授)です。
この記事で関心を引いたのは、以下の部分です。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ・アメリカにおけるベンチャー産業は、既に次世代の「クリーンテク」に向かって力強く前進し始めている ・リスクに果敢に挑戦した結果としての一度や二度の失敗を寛容に許し、再挑戦を促す風土・環境があるアメリカと、それがない日本 ・シリコンバレーには一度失敗した起業家にのみ投資して成功しているベンチャーキャピタルがある ・投資を回収する「出口戦略」の選択肢が重要 ・日本のVCの投資行動は1社に数社が少額出資する「協調投資」というスタイルが主流 ・大企業に眠る技術や知的財産を社外に切り出し(カーブアウト)し、その事業化を起業家に委ねる経営である「カーブアウト経営」が注目される ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ベンチャー企業や経営者に対する、日本の投資家ひいては日本国民の見方が、今すぐにアメリカに近づくかと言えば、それは難しいでしょう。 ただし、これだけ高い生産性や技術、事業遂行能力を身につけている日本の産業を、グローバリゼーションの中で競争力をもつよう適切に育成するためには、ベンチャーに対するモノの見方を変えていくことは喫緊の課題ではないでしょうか。
最近の若年層へのアンケート調査結果によると、ベンチャー経営者としてリスクをとるよりは、大規模安定企業で「穏やかに」働きたいと望む人の比率が高まっているようです。
ライブドアの堀江元社長や楽天の三木谷社長がマスコミで脚光を浴びているときとは随分雰囲気が変わってきました。
それでは、これらの停滞ムードを変えるためには、何が必要なのでしょうか? それぞれの関連プレーヤーが意識を変える必要があります。
○教育・・・ 大学受験のための「学問」のための学問ではなく、将来、経済社会に出て役立つ学問(例えば、新事業やイノベーション、株式会社の制度、ファイナンス、会計など)を盛り込み、小中学生の早い段階から興味を持たせる。そのためには現行教師のみならず、経営の実戦に立つ、または、リタイアした実務家を教育の場にどんどん招き入れ、「おもしろい授業」を行う。
○産学協同・・・ 中国の大学の周りを世界に名だたる企業が取り巻く状況を見ると、日本の大学(研究室)と企業の関係がいかに遅れているものかを実感します。大手企業の中には、日本の大学の研究室ではなく、中国はじめ海外の大学の研究室に積極的に寄付するところが増えています。いろいろな問題があると思いますが、やはり日本の大学においては組織の硬直化と、事業化に対するスピードと柔軟性が欠けているのではないでしょうか。
○金融・・・ 日本型のサラリーマンVCスタイルを見直す。さすがに、1社に数社が少額出資する「協調投資」では、銀行による間接金融ではありませんし、経営に携わるハンズオンという観点からも中途半端なものにすぎません。VC自体の経営の安定も分かりますが、VCの存在意義を再確認してもらえればと思います。 また、なかなか難しい話かもしれませんが、アメリカのベンチャー経営者出身の個人著名投資家のように、富裕な個人資産から適切な目利きによって、産業にリスクマネーを投入するメンター的な存在が少しでも根付いてくれればいいですね。
○行政・政治・・・ 改正産業活力再生法に基づく公的支援も大事ですが、ベンチャーの育成にもう少しウェイトを置いた政策を実行すべきでしょう。単に、資金や税制面だけではなく、教育やセーフティーネット作りなど精神面からサポートすることも忘れないで欲しいです。 実情が分かっていれば、新興市場の上場ベンチャー企業に、大企業と同じようにJ-SOXを一律に義務付けるという発想は出てこないはずです。
○会計・・・ 一番の役割は有望な技術や事業機会を持っている経営者に事業創造に専念してもらうような「場」を作り上げることでしょう。成功したベンチャー企業の陰には必ず優秀なCFOがいますし、適切な時期と金額のファイナンスを実行するためには、適切な管理会計や財務会計が必要です。これまでにもいくつもの有望ベンチャーが「カネ」が続かないことによって撤退したり、海外に身売りされたり、という場面を見てきました。 また、IPOを目指す企業に対して、公認会計士・監査法人は「甘やかさず、厳しすぎず」という姿勢が求められます。IPOに長けた会計士というは、経営者が道を外れないよう、それとなくグリップしながら、ほめることによって、経営者をその気にさせる人だということを聞きます。
自動車や金融の分野で凋落したと言われるアメリカですが、ひとたびITの分野に目を移せば、依然として、PCのOSを提供するのは、マイクロソフトであり、アップルであり、リナックスであり、さらに、今度はグーグルです。私たちは日常の生活や仕事を行う上で、これらのOSを使わない訳にはいきません。そのようなインフラの部分に、アメリカ以外の企業が登場しないは寂しい限りです(リナックスのリーナスさんはスウェーデン系フィンランドですが)。 自動車の分野でも、トヨタやホンダのハイブリッドカーが強いのは分かりますが、その先の将来といえば、テスラ・モーターズのようなベンチャー企業の方がワクワク感があるというのが正直なところです。 同社2番目のモデルは、4ドアのEVスポーツカー。0-96km/h加速5.6秒、最大航続距離約483km、充電時間45分という性能を実現。ベース価格は日本円で500万円を切る設定で、2011年に発売されるとのことです。う~ん、欲しい。


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