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会計と監査実務の最前線
新聞記事など最新の話題で会計的に気になることを公認会計士・監査人の立場から鋭くコメントします!
06 | 2010/07 | 08
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第1四半期決算は資産除去債務に注目です。
3月決算の上場会社では、今まさに第1四半期決算作業を行っており、また、監査法人等にレビューを受けている事と思います。そろそろ決算発表も増えてきていますが、当期から適用となる「資産除去債務」や「セグメント情報のマネジメントアプローチ」への対応はどのような状況かリサーチしてみたいと思います。
正直に言えば、「①事業年度の期首から適用(=第1四半期から適用)」と「②事業年度末から適用(=年度末本決算から適用)」では、対応する会社とレビュー又は監査する監査人、双方にとって、負担感が違うのではないでしょうか。
監査人の立場から言うと、前者①の場合、前期末(3月)決算の監査がようやく終わって、有価証券報告書のチェックも終了、さあ、少し休暇でも・・・というところで、第1四半期レビューが始まるという状況なので、はっきり言って、精神的にかなりきついと思います。
特に今回のように、会計専門家にとってはハードルが高い「資産除去債務」について会社と限られた時間内に議論を詰めなくてはならない場合、大声では言えませんが、「四半期はどうせレビューだから、もう、この辺でいいか・・・」的な雰囲気が充満するのではないでしょうか。
後者②の場合は、第1,第2,第3四半期を経て、2月~3月頃に本決算監査の事前打ち合わせをするため、比較的議論にかける時間もあり、監査人の胸中にも、「レビューではなく、監査だから、しっかりやろう」という意識が少なからずあるものと思います。
これは、個々の会計士や監査チームのみならず、監査法人及び審査部門にも同様な感覚ではないでしょうか。

そう考えると、今回の「資産除去債務」対応は、第1四半期から適用ということで、間もなく、決算のタイムアップも来ることを考えると、会社側としては「今回はとりあえず、ここまで処理した。残りは、合理的な見積ができなかった・・・で勘弁してくれ」というところでしょう。
果たして、これに対して、監査チームはどのような対応にでるのでしょうか??
余談ですが、IFRSの付随業務の提案も活発に行っており、当期の監査報酬交渉が終わっていない企業も多いと思います。各監査法人の業務収益性が相当悪化していることや法人間での監査クライアントの奪い合いやダンピング競争に近い状況も考慮すると、監査法人側にも、今は、クライアントとの関係を良好に保っておきたいという意識が働くのではないでしょうか。そうすると、それほど厳しいレビュー対応はできないのかもしれませんね。

私見ですが、資産除去債務対応などを見ていると、会計・監査理論が独り歩きしている感がぬぐえません。会計や決算を作成する主体である、企業側の意向をもう少し反映させるバランス感があっても良いと思います。
勿論、株主を含めた一般投資家に資する情報が提供されることが大前提ですが、例えば、
「本社の自社ビルに今のところ移転計画や売却計画はなく、将来の資産除去費用を合理的に見積もることは困難なので、これらの計画が議論された段階で速やかに検討・会計処理する」という考え方は投資家目線で見ても、それほど会計理論を逸脱するものではないと思うですが・・・。
やはり、監査法人が指導しているように、何十年後に発生するか分からない資産除去費用をよく分からない仮定を用いて、見積もるべきなのでしょうか。逆に恣意性が介在するような気がしますが。
そこまでを投資家も望んでいるのでしょうか。

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プロフィール

公認会計士 若松 弘之

Author:公認会計士 若松 弘之
某大手監査法人で監査の最前線に立ち10数年・・・
そこで感じた問題意識を実践するために2008年10月に独立開業しました。現在は、公認会計士若松弘之事務所の代表として、監査だけではない会計関係全般の業務を行っています。
http://www.wakamatsu-cpa.com/

会計や監査にまつわる問題点やコメントを自由な立場から深く切り込んで積極的に発信していこうと思っています。
応援よろしくお願いします。

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