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会計と監査実務の最前線
新聞記事など最新の話題で会計的に気になることを公認会計士・監査人の立場から鋭くコメントします!
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相次ぐ粉飾決算!粉飾決算のメカニズム(初級編)②
(前回から)
では、そもそもなぜ粉飾を実行してしまうのか?
2つめのポイントである【粉飾の動機・目的】は何なのでしょうか??

これはケースバイケースですが、過去の粉飾事例からも分析されている通り、概ね以下の動機・目的があります。

◆株価維持(株主からのプレッシャー)
◆業績見通しと実績との乖離回避(株主・一般投資家からのプレッシャー)
◆配当圧力(株主からのプレッシャー)
◆上場スケジュール(ベンチャーキャピタルからのプレッシャー)
◆資金調達(一定の売上・利益が第三者割当増資などの条件になっているなど)
◆借入金の引き揚げ回避(金融機関からのプレッシャー)
◆M&Aの成就(一定の売上・利益・純資産が企業売却の条件になっているなど)
◆経営者の報酬・ストックオプション
◆経営者からの予算達成プレッシャー(経営者からの以外の役職員の粉飾のケース)

粉飾の動機_convert_20110621164754


昨今頻発している新興上場企業の粉飾の要因は、上場スケジュールの遵守をベンチャーキャピタルなどの投資家から厳しく要求され、守れない状況になると「出資した分を会社か役員で買い取れ!」と言われ、もちろん買い取る資金などないため、粉飾決算をしてでも、他の投資家から資金調達をしようと思う点が多いのではないでしょうか。私は新興上場企業のCFOなどを経験していませんが、その修羅場を経験した周りの会計士の人に聞くと、それはもう大変だったと言います。
ベンチャーキャピタルの人が必ずしも全てそうだとは言いませんが、出資する時は、それはもうバラ色の話で持ち上げられ「是非出資させてくださいっ」という感じだったのに、ひとたび業績や先行きに暗雲が立ち込めた瞬間、人が変わったように「カネを預けただけだ!」とも言わんがごとく、場合によっては人間扱いされないことも・・・、ということもあるようです。株式出資なのですから、本当は、資金の提供者は他の投資家に株式を売却して資金回収するのが筋で、出資先である会社に資金の払い戻しを強制するのは、資本の原理や株式会社制度に反するのですが、もともと弱い立場のベンチャー企業は、株式出資契約で買取り義務的な条項を盛り込まれることも少なくないようです。

結果として、これが粉飾の温床になっているのであれば、これは必ずしも一部の良からぬ経営者だけの問題ではなく、ベンチャーを取り巻く投資・育成環境に根ざした問題ともいえます。

Written by Hiroyuki Wakamatsu(公認会計士若松弘之事務所
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プロフィール

公認会計士 若松 弘之

Author:公認会計士 若松 弘之
某大手監査法人で監査の最前線に立ち10数年・・・
そこで感じた問題意識を実践するために2008年10月に独立開業しました。現在は、公認会計士若松弘之事務所の代表として、監査だけではない会計関係全般の業務を行っています。
http://www.wakamatsu-cpa.com/

会計や監査にまつわる問題点やコメントを自由な立場から深く切り込んで積極的に発信していこうと思っています。
応援よろしくお願いします。

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