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会計と監査実務の最前線
新聞記事など最新の話題で会計的に気になることを公認会計士・監査人の立場から鋭くコメントします!
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書評「本当に使える IFRS適用ガイド」
 日本でのIFRS適用時期の議論は依然として、推進派と反対派の間でかみ合わない議論が展開しているようですが、世の中的には、オリンパスと大王製紙の会計スキャンダルが人々の関心を集めています。
オリンパスの第三者委員会報告では、金融商品に関しての巨額の含み損の顕在化を恐れて「飛ばし」スキームに踏み切った点や、負債から資本への振替の際に、公正価値測定を経た上での振替えが義務付けられ、まもなく簿価振替えができなくなるというタイミングぎりぎりで不正処理を行った点などが明らかになっており、この点からは、会計基準が厳格化・透明化(時価評価)されることが、不正を働いている会社にとって一定のプレッシャーになることが改めて浮き彫りになったような気がします。
 したがって、IFRSの強制適用の会計理論的な是非はあるものの、新しい基準を導入することにより、企業には今までの負の遺産たる会計処理を見直す機会を与え、かつ、不正処理を行っている企業にはイエロー(レッド)カードを出すチャンスになると言えるのではないでしょうか。
 今回の事案によって、「社外取締役の義務付け」などに代表されるように、企業のコンプライアンスを更に強化しようという政治的な動きが加速するのは間違いないでしょうし、場合によっては、ヨーロッパに追随するように、監査法人のローテーション制度が真剣に議論されるのではないでしょうか。私が監査法人に入った当初からのジレンマである「クライアントから報酬をもらっていながら、真の独立性を堅持できるか」とう監査制度の核心にメスが入るのは時間の問題かもしれません。それはそれで、いいことなのでしょう。
 さて、前置きが長くなりましたが、IFRS関連でお勧めしたい書籍があります。
タイミング的には、今はIFRSという海原は「凪の状態」ですが、そういう状況であればこそ、一歩冷静な観点で読める本です。テクニカルで難解な技術論ではなく、J-SOX対応の二の舞にならないため、どのような心の準備と体制を築けばいいかという意味で非常に参考になる本です。機会があれば是非、手に取ってみてください。


ムリなく・ムダなく・スピーディー! 本当に使える IFRS適用ガイド
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プロフィール

公認会計士 若松 弘之

Author:公認会計士 若松 弘之
某大手監査法人で監査の最前線に立ち10数年・・・
そこで感じた問題意識を実践するために2008年10月に独立開業しました。現在は、公認会計士若松弘之事務所の代表として、監査だけではない会計関係全般の業務を行っています。
http://www.wakamatsu-cpa.com/

会計や監査にまつわる問題点やコメントを自由な立場から深く切り込んで積極的に発信していこうと思っています。
応援よろしくお願いします。

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