エルピーダとはどんな会社か? |
少し前になりますが、 「政府がエルピーダに支援決定、再建資金1600億円」という記事が話題になりました。
以下、記事内容の抜粋です(詳細はリンク参照)。 「経済産業省は30日、エルピーダメモリ(6665.T: 株価, ニュース, レポート)に対し、改正産業活力再生法に基づく公的支援を認定したと発表した。エルピーダが8月に発行する300億円の優先株を日本政策投資銀行が引き受ける。 同法に基づく出資は初めて。このほか、台湾当局が主導して設立する台湾メモリー(TMC)が09年度中に、エルピーダに200億円程度を出資する。公的支援や民間金融機関の協調融資でエルピーダの再建にかかる資金は1600億円。日本と台湾のDRAMメーカーの再編を通じて過剰供給構造の解消を図る。」
改正産業活力再生法に基づく公的支援とは、著しい経営環境の悪化に伴い、売上が激減し、その結果、キャッシュ・フローが懸念される企業のうち、経営破綻することによる社会的影響が甚大と認められる企業に対して、国が日本政策投資銀行の融資に保証を付けることで、資金繰りなどをバックアップする政策です。 エルピーダメモリはこの公的支援の1号案件になったという訳です。それにしても国が公的に支援するということで、民間金融機関も相乗りし(当局から協調融資の「天の声」があったのかもしれませんが・・・)、総額1600億円のキャッシュを注入するのですから、すごいものですね。 日本航空もそうですが、これが返済できれなければ・・・・、皆さんの税金が毀損するということですよね。 その意味では、実質的に国が資金の貸主といっていますが、これはすなわち、間接的には皆さんの血税が使われているということになり、日本国民が貸主として、対象企業の動向や返済状況に注目していくべきなのでしょうね。
私はエルピーダという企業がどのような沿革で、現状どんなビジネスを行っているかについて一般的な知識はありましたが、それ以上の深い理解はありませんでした。 という訳で、この際だから直近の有価証券報告書をしっかり見て、この企業の現況と将来の展望を分析してみようと思いました。
有価証券報告書はこちら
なお、有価証券報告書の読み方にはコツがあります。 いきなり「経理の状況」(いわゆる貸借対照表や損益計算書などの財務諸表)を読むのは、余程の専門家以外はお進めできません(私もさすがにいきなり「経理の状況」は読みません)。
【ポイント】 1.対象会社の定性的情報を理解し、どんな会社かを具体的にイメージする 2.直近に至る経営環境の推移をつかむため、冒頭の財務数値ハイライト情報を使い、3年程度の時系列比較をするとともに、「事業の状況」の文章を読み理解する。 3.「対処すべき課題」や「事業等のリスク」にて将来を占う意味で何が不確実性リスクとなるかを把握しておく。 4.「研究開発活動」を読み、将来の「飯の種」の有望性を検討する。 5.「提出会社の状況」では、株主構成や直近株価推移、役員の構成とそれに関連してコンプライアンスが効く体制になっているかを理解する(ここを読み解くのは結構難しい)。
ここまで下準備をしてようやく、「経理の状況」(財務情報)の読解に入るのが理想です。 なお、貸借対照表や損益計算書を見る際には、必ず前に戻り「財政状態及び経営成績の分析」とセットで読んで下さい。
「経理の状況」で特に留意するポイントは以下です。 6.前期と比較し、著しく増減している残高がないか。もし、著増減があるが場合、「財政状態及び経営成績の分析」で文章説明がないか確認する。 7.普段目にしないような特殊な勘定科目があった場合、財務諸表に続く注記情報を確認する。 8.損益計算書の特別損益の部については、特に注意してみる。 9.キャッシュ・フロー計算書は、その企業が置かれた資金繰りや将来投資の状況を如実に表すので、慎重に読み解く(これだけでかなりのテクニックを要求されるので、また、別途機会を設けて解説したいと思います) 10.会計方針や注記事項においては、以下の項目を特に注意する(これは大事です!) ◎会計方針の変更(法令や会計基準の変更に伴う一般的な会計方針の変更はあまり気にしなくてもいいです。) ◎追加情報 ◎後発事象 11.最後に監査法人・公認会計士による監査報告書が、いわゆる通常の「無限定適正意見」がどうか確認する(重要な会計方針の変更や後発事象、企業の継続性(ゴーイング・コンサーン)に問題がある場合、監査報告書に追記情報が付されます)
以上のポイントに気をつけながら有価証券報告書を読むと、この1冊にいかに多くの情報が含まれているかということを改めて認識できると思います。
本題に戻りますが、エルピーダの有価証券報告書を拝見しました。 そこから、「ん、これは!」という情報がいくつか見られました。 この詳細は明日のブログに引き続きとしますが、ご興味ある方のため、一つヒントのキーワードを。
「コベナンツを抱える企業の苦悩」
では、次回お楽しみに。
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