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会計と監査実務の最前線
新聞記事など最新の話題で会計的に気になることを公認会計士・監査人の立場から鋭くコメントします!
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監査人の独立性~ローテーション制度と金融庁による監査法人の処分~(その2)
先日のコラムの続きです。
前回は監査法人におけるローテーション制度についてその概要と課題について触れました。
今回は、いわゆる大手監査法人以外の、中堅監査法人や中小会計事務所(個人会計士含む)を取り巻く昨今の会計監査の状況についてコメントしたいと思います。

昨今のニュースとして業界的に話題となったのは、
「監査法人ウィングパートナーズに業務停止処分、監査証明した書類に虚偽」
でしょう。
同監査法人が巷で注目されていたのは、大手や中堅監査法人がいろいろな問題(監査の実行可能性:Auditablity)で「お手上げ」したいわゆる「いわくつき」上場企業の監査を次々に引き受けていたためです(そのような会社にとっては最後の「駆け込み寺」的な存在になっていました)。

しかも、パートナーの数は5、6人程度で、補助者を使っていたとしても、上場企業を10社近くも引き受けてやっていけるだけの体制にはないのでは?というのが業界内では大勢を占める見解でした。
一部の証券市場の関係者からも、大手監査法人が「No」を出して、市場からの退出カードを切ったにもかかわらず、これに反して上場維持のため監査意見を「売っている」のではないか、などの声も上がっていました。

結果的には、記事にあるとおり、金融庁の検査が入り、法人・個人ともに業務停止の処分が下りました。今後の展開としては不透明ですが、業務停止期間中、クライアントは他の一時監査人を選任する必要があるので、一旦、同監査法人の手を離れます。業務停止期間が明けた後に、もう一度、同監査法人を会計監査人に選任しようとする会社は稀なのではないでしょうか。そうすると、事業継続基盤を失うので事実上、監査法人は解散するのではないでしょうか。この辺の流れは、旧中央青山が消滅した経緯に近くなるのでしょう。

さて、困るのは、今まで同監査法人から監査を受けていたクライアントです。そうでなくとも大手や準大手の監査法人から、三行半を突きつけられた会社が多いので、一時監査人とは言え、それを引き受ける監査人を探すのは一苦労かもしれません。まあ、業界的には今は不況感が出てきましたので、多少のリスクはおかまいなしで、引き受けるところが出てくるとは思いますが・・・・

一方、金融庁による監査法人や会計事務所の検査は、
大手監査法人の検査については、それなりの結果(全ての法人に業務改善命令)を残し、一通り終了(ルーチンの検査は継続)という感じです。
現在は、会計士100名前後、それ以下、の準大手監査法人がターゲットになっています。

ただし、少し厳しいと思うのは、大手監査法人の検査で、監査調書の整備状況や事務所内のリスク管理体制(審査部門による審理制度など)、監査業務のIT化などを見てきた、金融庁の検査担当官が、中小監査法人に行けば、少なからず「何だこれは!!」という感じになるのは目に見えています。
実際、中小監査法人は「個人会計士の寄り合い所帯」という色彩がかなり残っていますので、大手監査法人ほどのお金と間接部門人材をかけられるかといえば難しいでしょう。
つい最近までは、監査手続の水準や監査調書の体系も、結構バラバラだったと思います。
これはその生い立ちからすれば、やむなしでしょう。

このような状況のなか、金融庁が厳格性を追及し、中小監査法人に対して、業務改善ひいては業務停止などの規制強化に動けば、いくらでも処分はできるでしょう。
しかしながら、そのような規制強化は中小監査法人や個人会計士のマインドを低下させ、「金融庁管轄の金商法監査は大手監査法人以外、無理」や「会社法監査だったとしても、会計士協会のピアレビューにあたるで、そのレビュー対応で相応のコストがかかる。法定監査会社数が少なければ割に合わないから、監査を降りよう」などの考えが定着する恐れもあります。

これは、日本の監査業界の裾の広げるという意味では、かなりのマイナスです。
健全な姿は、必ずしも大手監査法人のみが法定監査業務を行うのではなく、監査コストの問題や監査リスクの低い業態などについては第2グループである準大手・中堅監査法人や中小会計事務所等が適切な受け皿になる状態でしょう。

会社規模が大きく、海外に展開しているような企業グループについては、海外ファームとネットワークを組んでいる大手監査法人が監査を担当すべきと思います。しかし、新興企業や国内単一ビジネスなど、必ずしも大手が担当しなくても、中堅以下の監査法人において、十分監査の品質を維持しながら、きちんと経営者をグリップできる余地はあると思います。

監督官庁においても、資本市場と監査業界の健全な育成を鑑み、監査の品質についても大手とそれ以外の溝は着実に埋めていく形で主導してもらえればと思います。
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プロフィール

公認会計士 若松 弘之

Author:公認会計士 若松 弘之
某大手監査法人で監査の最前線に立ち10数年・・・
そこで感じた問題意識を実践するために2008年10月に独立開業しました。現在は、公認会計士若松弘之事務所の代表として、監査だけではない会計関係全般の業務を行っています。
http://www.wakamatsu-cpa.com/

会計や監査にまつわる問題点やコメントを自由な立場から深く切り込んで積極的に発信していこうと思っています。
応援よろしくお願いします。

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