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会計と監査実務の最前線
新聞記事など最新の話題で会計的に気になることを公認会計士・監査人の立場から鋭くコメントします!
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本日の新聞記事から(日経)
「有価証券・四半期報告書 提出遅れ すでに35社」
【2009年6月16日 日経12面】

という記事が載っていました。
有価証券報告書や四半期報告書を金商法が定める期限内に提出できない企業の数が増えているという内容です。提出遅延の理由としては、以下が挙げられています。
・決算作業の遅れ
・「継続企業の前提に関する疑義」の解消に向けた対応に時間を要している

なお、金商法での法定期限は、有価証券報告書は決算日後3ヶ月以内、四半期報告書は四半期決算日後45日以内となっています。
東証などの証券取引所は法定期限から1ヶ月以上遅れると、上場廃止要件としています。

3月決算会社は6月末まで、あと2週間余りありますが、すでに期限内の提出は無理と判断した企業も2社出ているようです。

実務経験から言わせてもらうと、
「決算作業の遅れ」を提出遅延理由にするのはかなり異例のことと思います。
そのような企業でも、すでに決算発表を済ませ、株主総会の招集通知添付用の決算資料は作成されていると考えます。
そこまでできていれば、有価証券報告書の経理の状況及び財務セクションはかなりの部分が完成しています。あとは前段のIRセクションですが、これについても、上場企業は会社法に基づく事業報告を連結ベースで作成しているはずですので、ある程度はその内容をコピーすることによって対応可能と考えます。
経理・財務部のキーマンが何らか理由で病欠、または途中退職するなど最悪の場合でも、担当会計士や監査法人が建前上、「二重責任の原則」を守りながらヘルプしてくれるのではないでしょうか。
そもそも、その提出遅延の事実は、まさに適切な財務報告をできる統制環境にないということを露呈するものですので、当然にJ-Soxの監査意見に影響を及ぼすことは避けられないでしょう。その辺を考えれば、多少、見切り発車で場合によっては、後日、訂正報告書を出す可能性が残ったとしても、とりあえず法定期限は守るというのが、経営者の意思ではないでしょうか・・・。

もう一方の、「継続企業の前提に関する疑義への対応」ですが、これはやむを得ない理由として起こりうることでしょうね。
私にも経験がありますが、この対応については、提出企業のみの努力では如何ともしがたい部分があります。
事態は深刻化していますので、法定期限遅延⇒上場廃止 よりも継続企業の前提の疑義が解消されない⇒監査意見不表明(または不適正意見)⇒経営破綻 の方を避けるほうが優先されることになります。上場廃止になっても企業が存続する方がましですから。
 
監査人にとっても、有価証券報告書提出の法定期限に間に合わないという理由だけで、金商法の監査意見を6月末までに決めなければならないというよりは、上場廃止までの1ヶ月の猶予のうちに何らかの再建策(第三者割当増資の実行(可能性)など)や金融機関による支援の証拠を入手できないか検討するのが筋でしょう。
ただし、監査人にとって悩ましいのは、なるべく時間の経過と状況を見たうえで監査意見を表明する方が懸命である一方、既に株主総会招集通知に添付された会社法の監査報告書では何らかの意見表明を行っている場合、これと異なる監査意見が表明される可能性がある点です。
 会社法監査意見はいったん適正意見を表明しながら、株主総会開催時点では金商法の監査意見が未確定という状況では、法的には会計監査人及び監査役会による適正意見が付された決算書は株主総会では承認事項ではなく、報告事項となりますが、既にこれは実態から乖離するものとなっている以上、手続の瑕疵になる可能性があります。
 従って、実務的には特定取締役及び監査役と合意のうえで、株主総会を一定期間延期することになるのではないでしょうか。ただし、無制限に2~3ヶ月延期するのは株主・債権者に対して、経営者及び監査人にとっては、決算報告及び監査義務を放棄することになりますので、事実上困難と考えられます。
 よって、「継続企業の前提に関する疑義への対応」として猶予される時間は1ヶ月程度となると思われます。
 経営者はこの1ヶ月の間に何らかの対応や結論を出し、同様に監査人もこの1ヶ月の間に意見表明を固める必要があると思われます。これは証券取引所が上場廃止として猶予している1ヶ月とも平仄が取れています。

いずれにせよ、3月決算会社で継続企業の前提に疑義が存在している会社は、7月末までが勝負となるのでしょう。

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プロフィール

公認会計士 若松 弘之

Author:公認会計士 若松 弘之
某大手監査法人で監査の最前線に立ち10数年・・・
そこで感じた問題意識を実践するために2008年10月に独立開業しました。現在は、公認会計士若松弘之事務所の代表として、監査だけではない会計関係全般の業務を行っています。
http://www.wakamatsu-cpa.com/

会計や監査にまつわる問題点やコメントを自由な立場から深く切り込んで積極的に発信していこうと思っています。
応援よろしくお願いします。

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